不安定帰路【短編】
「ねえ、俊樹」
「ん?」
「……何でもない」
一緒が心地よくて、でも進むのが恐くて立ち止まろうとしてた。
でも、何かが足りない。
もの足りない。
多分『好き』って言えばその物足りなさも埋まる気がする。
「悩み事?」
頭を抱える私に気づき声をかけてくれる。
「まあね……」
「俺が解決してあげるから手つないで」
「意味分かんない」
笑って誤魔化す。
もう、訳分かんない。
自分の気持ちも俊樹の遠回しな告白も。