優雅な光。
「…早く…ここから逃げろ…っ…」
腕の傷を抑えながら、
ふらふらと立ち上がる。
「でっでも…怪我……」
「…怪我は後で何とかする」
そう言って、男の人は袖から
ナイフを出した。
え?
袖から?
ナイフ??
この人何者…?
今の状況についていけず、
混乱する私。
「早く逃げろ。巻き添えになる」
「でもっ!怪我してるし…!」
そう言った私の言葉に、
男の人は突き放すように言う。
「いいから急いで走って逃げろ。
俺にかまうな」
「………」
私は渋々、言われた通りに走り出す。
そういえば…、
男の人とまともに喋れたな……
私は、さっきの男の人を思い浮かべる。
あの人、私と同い年ぐらいなのに…
あんな辛そうな…痛そうな想いして…
私は走っている足を止めて、
振り返る。
視線の先にはさっきの
傷だらけの男の人。
やっぱり…逃げられないよ…!