幽霊執事でございます
……?
なぜだろう?
思い出がいっぱいだから売ったり壊したりするのが嫌なのかな?
「……今まで避けてたのに……」
「え?」
「あ、いいえ、気にしないで。良音はちょっとびっくりしちゃうかもね」
「……?そっか」
「パパは一人っ子だからね」
一人っ子だから、あたしたち親子以外にあの家に住む人はいないらしい。
だからあたしたちは急遽アパートから引っ越すことになったのだ。
学校の友達とお別れをしたり、それ以外の友達ともお別れをした。
「ねぇ、ルルは連れてけないの?」
「ややややめなさい!」
「良音、ルルはここから出られない猫なんだよ。ごめんね、連れてけなくて」
「……そっか。ルルともお別れなのか……」
そっか、初めて知ったよ。
ルル……地縛霊だったんだね。
だからいつも家から出なかったんだね。