幽霊執事でございます


「……あぁ、どうも……」


とりあえず、教室に行けるだけで一安心していた。

けれども、問題はそれからだということに、あたしは気付いていなかった。


「あ、良音ちゃんが来たよ!」


クラスメイトの一人がそう言うと同時に、みんなの視線があたしに集まった。


「……あ、おはようございます……」


とりあえず、挨拶をしておいた。


すると直後におはようの挨拶パラダイスが湧き起こった。

え、そんな、ここライブ会場と間違ってませんか!?


とりあえずそそくさと自分の席に着いた。


もう、今日はなんなの……!?


「宮園さんてやっぱりさ」

「え?」

「すげーよ、みんな仲直りしてんだけど」

「はい?」


みんながいっせいに話し始めるから、聞き取るのすら大変な朝だった。
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