幽霊執事でございます


――それを少し、怖いと思ってしまったのは、なぜだろう?


「……ライちゃん?」


シュンくんが出て行った後の音楽室には、何の音もない。


『無音』


響くのは……あたしにしか聴こえない声。


「ライちゃん!」

「ナホ……」


モヤモヤしてる……。

嫌な予感っていうのかな?


でもなんで?

シュンくんはいい人なのに。

家まで送ってくれたり、『宮園』の話を教えてくれたり……。


「戻ろっか」


でも……先に帰って行ったシュンくん。

まるで一瞬……人を見捨てた瞬間のように感じた。


考えすぎだってわかってる。

それはたぶん……一部のフラッシュバックだ。

過去の記憶が……作り出したんだ……。


そうに決まってる。
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