幽霊執事でございます


笑いながら去って行く人。

怯えながら去って行く人。

気味悪そうに去って行く人。

怒りながら去って行く人。

泣きながら去って行く人。


色んな種類をもって、みんなあたしから去って行った。


『見える』ことを恨んだ。

『普通』であることを羨んだ。


何度泣いただろう?

何時から諦めたんだろう?


何処で間違ったんだろう?


口を開かなければよかった。

何度も後悔した。

危険な目にも合ってきた。


あたしという存在の価値。

あたしという人間の理由。


一度考えてしまうと、ダメだ。

あの頃の記憶を思い出してしまう。
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