幽霊執事でございます
背後から荷物を抱えてきたお父さん。
荷物取りに行ってたのか。
どうやらこの幽霊執事の名前は葉山というらしい。
「良音、この……人?は、葉山李斗(りと)。見える人専門の執事だ」
「葉山です。これからお嬢様方のお世話をさせていただきます」
今、迷った。
父、葉山さんを『人』と呼ぶか迷った。
「……宮園(みやぞの)良音です……。じゃなくてお父さん!今お母さん腰抜かしてるよきっと!!」
はっ!っと、ふと思い出した母のこと
そういえばさっき叫んだきりだった!
「え?ダメじゃないか葉山、驚かしちゃ」
「申し訳ございません。しばらくぶりなもので、つい……」
ついじゃねーよ。
……あぁ、うん、見えて来たぞ。
なんでこの家に一回も来たことがなかったのか。
母は、この心霊現象を恐れて来ることを拒んでいたのか。
となると……もしかして葉山さんがいるからこの土地を売ったり出来ないってことなのだろうか……?
他にも誰かいるのかな。
仲良くなれるかな。
「ママー、だいじょうぶかーい?」
父が母を心配して屋敷の中に声をかける。
「や……あう……もう……」
すると、疲労MAXの母のなよなよした声が返ってきた。
早くも限界らしい。