ひとりじゃない
教室からもどると、結香と有紗が駆け寄ってきた。
どうやらまだ授業は始っていないようだった。
「もぉ~、どこ言ってたの?」
有紗が甘い声で言った。
「あ…あのっ」
「結香、待たせてごめんねっ」
あたしがそう言おうとした途端、美緒に言葉を遮られた。
あ…そうだ…。
無視するんだった…。
どんくさいよ…あたし…。
結香はあたしたちがどこで何をしていたか知っている。
「いいよ!もうすぐ授業始まっちゃうよ」
結香はそれだけ言うと、自分の席に戻った。
有紗はまだ自分が無視されている自覚はないみたいだ。
「さ、みんな行こ!」
有紗が言うと、
「桃~行こ~」
と美緒が言った。
「あ…うん」
あたしは美緒について行った。
有紗は不思議そうな顔をしながら自分の席に座った。