ひとりじゃない
「名前なんてゆうの?」
ロングのウェーブした髪を耳にかけながら、あたしに聞いてきた。
「もも…もこ…」
「もこ?」
「も…もこじゃなくて!桃子。石田桃子。」
「あっははは!びっくりしたあ!!桃子ちゃんか~!じゃあ桃子って呼ぶね!あたしは結香だよ~。笹本結香!よろしくね」
すごく元気のある子だった。
とっても可愛くて、中学生のころはきっと告白ばっかされてたんだろうなあ、と思うくらいだった。
「じゃあこれからよろしくね!」
「はい…!」
…良かった。
ようやく友達一人目が出来た。
あたしは不安も吹っ飛び、
これからの毎日を期待していた。
素敵な日々になれますように…と。
毎日もめごともなく、
平和に過ごせますように…と。
人生はそんな簡単な甘いものではないのに…。
あたしは甘かった。