白と黒の意味
act.6
そしてわたしは、そんなことがあったあの日から、意識を現在へと戻す。
授業をさぼって屋上でベンチに寝転びながら、春から夏へと変わる清々しい風を頬にうけ、考えを整理していたんだった。
ここへ来て、よかった。
あのときのことを、冷静に考えられた。
こころを静めてゆったりとした気持ちで風を感じていると、屋上と屋内をつなぐ扉があけられる音がした。
教師か、と一瞬焦ったが、言い訳なんていくらでもある、と思い、体を起こさずに、そのままでいることにした。
足音はわたしのすぐ近くまでやってくる。
腕で目を覆っているため、それが誰だかわからない。
何者かは、そんなわたしをしばらく見下ろしていた。
だが、その者はわたしが動かないことを知ったのか、目を覆っているわたしの腕を掴んで引っ張った。