白と黒の意味
 こんなじゃれあいのようなことが、再びできるだなんて思っていなかった。だから、わたしうれしさのあまりにはしゃいでしまい、地雷を踏んでしまった。


「サボリは、鳥海くんのほうじゃない。
 ぜんぜん学校に来てなかったんでしょ?」


 ふざけて、言ったつもりだった。

 曇ってしまった彼の顔を見て、しまったと口を閉じるが、言ってしまったあとでは、もう遅い。

 あの日のことは鳥海くんにとって、学校に来たくなくなるほどショックなことで、冗談めかして言うべきじゃなかった。



「……ごめんなさい」



 彼の顔を見ていることができず、彼から目を離す。

 どこを見たらいいのかよくわからなかったから、とりあえず、掴まれたままの腕を見つめた。

 白くてきれいな、けれど、男の子を思わせるような、骨ばった手。


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