白と黒の意味

 しばらく、静寂が訪れた。


 お互いに何か言うべき言葉を捜しながら、赤面しているという、奇妙な状態で。


 清涼な風が、頬を冷やす。


 だんだん、落ち着いてきた。

 ちらりと彼のほうを盗み見すると、彼も普段の顔色を戻しつつあるようだ。

 きれいな、顔立ちだとすこし場違いなことを思っていると、盗み見から凝視に変わっていたようで、彼は自分が見つめられていることに気付き、こちらを見た。



 目が、合う。



 どうしよう、と焦っていたら、彼は微笑んだ。




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