白と黒の意味
act.8
しばらくして、松本先生は産休に入った。
男の子かな、女の子かな、とわたしたちはときどき話す。
松本先生の話をするときに、彼はもう悲しい顔をしなくなった。
傷が、癒されているのだと、わたしは思いたい。
図書委員の仕事でたびたび松本先生にわたしは会っていた。始めこそきまずかったが、さすがに向こうは大人で、空気の入れ替えが上手だった。
今日も屋上で、ベンチに座ってごはんを食べる。
あいかわらず鳥海くんは人気者で、なかなかふたりだけになれることはなかったが、この屋上だけは別だった。
常に、ふたりきりだった。