白と黒の意味


「なななななななななにを言うのっ」


 思い切り動揺するわたしを差し置いて、彼は落ち着いている。

 わたしの手の中で無残な姿になったパックを取り、ポケットからハンカチを取り出して、濡れた手を、拭いてくれようとしている。


「凪子、手しか繋がしてくんねーじゃん。俺、もうやだよ」


 最後のほうは叫んでいる。

 駄々っ子のようだ。


「で、ででで、でもでもっ」


 動揺のあまり、うまく話すこともできない。

 鳥海くんのわたしの手を拭う力が、弱くなる。


「……わかったよ、我慢するよ」



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