白と黒の意味
 
 図書室の入り口まで来る。

 扉は開放されている。

 そっと、なかを覗いてみる。

 そこにはいなくなったわたしの代わりに、カウンターで貸し出しや返却をしている松本先生の姿があった。

 わたしはあんなことのあった後なので、どうしたらいいのかわからず、それを入り口から見ていた。

 先生は、どうして鳥海くんと付き合っていたのだろう。

 先生のおなかの子どものお父さんとは、どうして別れてしまったのだろう。

 だけど、おなかの子どものために、そのひととよりを戻す。

 それが事実なのかはわたしの推測だけど、鳥海くんじゃなくて、そのひとを選んだことが、きっとなによりの証拠。

 よりを戻せる状態だということは、きっとおなかの子のお父さんも先生のことをまだ好きなんだろう。

 でも、先生はそれで幸せなのだろうか。
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