白と黒の意味
「凪子ちゃんは、
行成の夢、知ってる?」
夢。
鳥海くんの、夢。
あれだ。
昼休みに、
ふたりで話し合った、あれ。
「えっと……司書さんか、
学校の先生になるっていう…??」
「ええ、そうよ。
それが、彼の、夢」
鳥海くんとのことを思い出してるのか、先生は幸せそうにほほえむ。
やっぱり、まだ先生は鳥海くんのことが好きなんだなぁって思わせる、顔。
「絶対、叶えてほしい。
だから私は、
そんな彼の邪魔をしたくなかったの」
子どもを養うには、それを断念しなくちゃいけなくなる、と、先生はそう言った。
いつの間にか、先生の顔からは表情が消えていた。