白と黒の意味

「凪子ちゃんは、
 行成の夢、知ってる?」


 夢。

 鳥海くんの、夢。

 あれだ。
 昼休みに、
 ふたりで話し合った、あれ。


「えっと……司書さんか、
 学校の先生になるっていう…??」

「ええ、そうよ。
 それが、彼の、夢」


 鳥海くんとのことを思い出してるのか、先生は幸せそうにほほえむ。

 やっぱり、まだ先生は鳥海くんのことが好きなんだなぁって思わせる、顔。



「絶対、叶えてほしい。
 だから私は、
 そんな彼の邪魔をしたくなかったの」


 子どもを養うには、それを断念しなくちゃいけなくなる、と、先生はそう言った。

 いつの間にか、先生の顔からは表情が消えていた。




 
 
< 95 / 154 >

この作品をシェア

pagetop