白と黒の意味
だけどわたしはその表情に隠された影に気付いてしまった。
だって先生はこんな風に笑わない。
「先生、……っ」
我慢しないでください!って、言おうとした。
したのに。
その先は、くちびるに当てられた、先生の指がそうさせてくれなかった。
わたしのくちびるに先生のひとさし指を当て、「内緒よ?」と言って金平糖をくれたときの仕草をした。
「その先は、言わないで?
だいじょうぶだから」
そう言った先生の視線とわたしの視線がぶつかり、その視線の強さに、わたしはなにも言い返すことができない。
言いたいことはたくさん、あるのに。