初恋。


男の子は何気なくあたしに振りまいた笑顔なんだと思う
でも
なぜか冷たいあたしの心を優しく温めてくれた気がした

この男の子はこんな優しい顔ができるんだなぁと思った


「お前安藤って言うんだな」

その男の子は急にあたしに向かってそういった
そして表札を指さした


あたしはさっきの笑顔からまともに男の子の顔が見れなくてうつむきがちにうなずいた

「俺の名前は仮屋 龍太
年末にこの町に引っ越してきたんだ」

引っ越してきたんだ…
どうりで見ない顔だなぁと思った

「あたしは安藤 咲[エミ]。この辺の小学生はすぐそこの第二小に通ってるんだけど…君は?」

あたしはやっぱりうつむきながら言った

なんでかわからないけど龍太くんと一緒の学校だったらいいなぁ
とか思った

「あんたはそこに通ってるの?偶然♪俺も新学期からそこに転入することになってんだ!クラスは違うかもだけどあさってからよろしくな☆」

龍太くんは安心したようにまたさっきの優しい笑顔を見せてくれた

「うん♪」

あたしは恥ずかしさをこらえて
とびきりの笑顔で龍太くんに返事をした
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