CHIHIRO
僕は黙ってシャワーを浴びに風呂場に向かった。
服を脱いで冷たいタイルの上に立つ。
目の前の鏡に映った太ももまでの自分は、
ひどく滑稽だった。
傷を隠す為に真夏でも長袖を着ているから
1年中真っ白い肌に
赤黒い痣やかさぶたはよく映える。
これは僕が頑張っている証拠。
もう見たくなくて、お湯の温度を高めに設定して
蛇口をひねると湯気と一緒に熱いくらいのお湯が出た。
それを頭からかぶり、ボディソープを手に出した。
ぬるぬるとそれを優しく身体に塗りたくる。
それでも、昨日出来たばかりの傷には痛かった。
タオルで強く擦ったら、削れて無くなってしまうんじゃないかと思うくらい
脆い僕の身体は、湯気で見えなくなった。
全く、綺麗になったきがしない。
それでも
どうせ綺麗にしたところで、
すぐ汚い客に抱かれるのだから、
意味が無いだろう。