CHIHIRO
すぐそこでは、逆上したお客がまだ怒鳴ってる。
その声は千尋さんにも聞こえたみたいで…
『どこに居るの?!大丈夫っ?!』
こんな時ばっかり、ごめんなさい…
「○×ホ、テル…っ、トイレの中…」
『すぐ行くから!!そこから出るなよ?!』
電話は切れてしまって、僕は自分の膝に顔をうずめた。
怖い…
何分こうしてるんだろう?
この人飽きないのかなぁ?
のん気な事を考えてるわりには、涙も震えも止まらないし、笑えない状況だ。
千尋さん、来てくれるんだ…
迷惑って分かってるけど、他に頼る人なんて居ない。
でももし、他に頼る人が居ても千尋さんに電話してたと思う。
なんでこんなに涙が出るのか
なんでこんなにドキドキしてるのか
わからない…
会いたい…
会いたくない…