CHIHIRO
まだ6時半。
時間はたくさんあるし、ちょっとゆっくりしよう。
吐き気はまだ治まらない。
それどころか耳鳴りさえしてきた。
コップに口を付けて、少し水を飲んだところで
親父が起きてきた。
「孝治さん、おはようございます。」
「あぁ、おはよう。」
僕は何も言わなかった。
まだ起きないと思っていた。
今日は日曜だし、普通8時頃まで起きてこない。
「なんだ、お前居たのか。」
「うん。」
親父も同じ事を思っていただろう。
流れている血は同じなんだ、と思うと吐き気が増した。
「今日は9時から此処で取材なんだ。お前早く出てけよ。」
現在、子供の問題が多く取り上げていられる仲
親父はテレビ取材をよく受ける。
それなりに有名な医者だ。