CHIHIRO
第六章
千尋さんはうつむいたまま、話し始めた。
「思ってる事は、全部俺に伝えて。どんな小さい事でも構わないから。必ず伝えて。」
どんな事でも…?
「あと、もっと君の事を教えて。」
今度は僕の方を見て、千尋さんは言った。
僕、の、こと…?
「名前は?」
僕は千尋さんの方を見ないで、自分の足元を見た。
「優貴。」
「優貴か。」
「うん。男みたいな名前でしょ?……ホントに男ならよかったのに」
え?と千尋さんは言った。
言ってもいいの…?
思った事…
今のこの、なんだか不思議なキモチも?
「男になりたかった。」