CHIHIRO
部屋の唯一と言っていい程、家具らしい家具から
ドライヤーを取って、髪を乾かす。
ブォン、という音と共に毎回蘇る記憶達。
汚いな。それがお似合いだね。これが嬉しいなんて、とんだ淫乱だな。頭、おかしいんじゃねぇの?結婚しよう。俺が君を助けるから。そういうの、もう古いよ?お前みたいなガキ、これで充分だろ。お前、狂ってるよ(笑)気持ち悪いな。こっちまでおかしくなる。お前はもう要らない。飽きないな。付き合いきれない。お前だけが頼りだよ。まだやってたんだ。お前に金を払う価値なんてないよ。うわ。好きだよ。なんだその目。お前、普通じゃねーよ。もっと女の子らしくしろよ。
数えきれない声が聞こえて、
だから僕は、うるさいドライヤーとうるさい場所が嫌い。