CHIHIRO
第二章
髪を乾かして、着替えて外に出た。
時間は8時半。
まだ全然早いんだけどなぁ。
何とも思わない。
僕は17年間も、親父の気まぐれと付き合ってきた。
いちいち苛立ったり、哀しんだりするのは時間の無駄だから。
僕は、おとといの客に連絡した。
3回目のコールくらいで、電話にでたその人は
何回も僕を買ってくれている。
「朝早くにごめんなさい。今から、どうですか?」
聞くと、OKだった。
その人は迎えにきてくれるらしい。
まだ活気のない商店街を抜けて、駅でその人を待った。