CHIHIRO
僕は玄関が開く音で目が覚めた。
開けっぱなしだったはずのカーテンは閉まっていて、電気がついていた。
僕の上にはタオルケットがかけられていた。
身体を起こすと、昼間に会ったスーツに千尋さんじゃなくて普段着に着替えた千尋さんがスーパーの袋を持っていた。
「あぁ、起きた?」
「ごめん、寝ちゃってた。一緒に行きたかったのに。」
スーパー…
千尋さんと行きたかったなぁ
「ごめん、気持ち良さそうに寝てたから。いい夢でもみた?」
ゆめ…
見てた気がするけど、
「覚えてない。今日は何作るの?」
千尋さんは高そうな肉と色が綺麗な野菜を見せてきた。
「面接決まったお祝い!焼肉しよ!」
まだバイトが決まったわけじゃないのに、僕より嬉しそうな千尋さん。
そんな千尋さんを見てると、僕まで嬉しくなる。
その日はホットプレートで焼肉をした。
「あ、そうそう。明日休みとれたから。」
…って事は、
「デートしよ」