CHIHIRO
午前の美容院から今まで、休憩無しのノンストップでお昼も取らずに歩き回ったから、さすがに疲れて近くのパスタ屋に入った。
「悪いから、ここのは僕が払う。」
千尋さんにばかりお金を使わせたくない。
なにより、稼ぐ事がどれだけ大変か僕は知ってるから。
当然千尋さんは遠慮したけど、僕が引き下がらなかったから払わせてくれた。
お昼時はとっくに過ぎたがらりとした店の中で、次はどこに行こうか、と話す。
お腹がいっぱいになった所で、次は水族館に連れってってくれた。
これがデートか。
楽しいな。
「僕、水族館初めてきた…すごーい」
千尋さんは驚いて、遠足とかで来なかった?と尋ねた。
そういう特別な行事に参加した事がない。
へー学校の遠足で水族館に行くんだ、と思った。
「でも、こんなに楽しい所なら、早く来ればよかった」
きっと千尋さんとだから楽しいんだね、
そう言いたかったけど、照れくさくてやめた。