CHIHIRO
もうすぐ3月。
といってもまだ日が落ちるのは早くて、水族館を出たときにはもう暗かった。
「冷えるね…」
あれ…?そういえば……
いつの間に手、繋いだんだろ。
千尋さんの手は、あったかくて大きい。
僕の手を握ったまま、千尋さんは自分のポケットに手を突っ込んだ。
「あったかい…」
たくさんの荷物を持って、車に戻った。
大きな家具は明日家に届けてもらう事になってる。
「あ、千尋さん。そういえば履歴書の写真撮らなくちゃ。どうすればいいの?」
千尋さんは世間知らずな僕を、面倒がったりしない。
にっこり笑って、野外にある個室の写真機に連れて行ってくれた。
写真を撮って、履歴書も買った。
「そうだ!写真撮ろう。」
千尋さんが言った。
車の中で、千尋さんと携帯のカメラで写真を撮る。
色んな写真を撮ったけど、お互いの写真をお互いの待ち受け画面に設定した。
これで、いつでも一緒…