CHIHIRO
さっきまであんなに苦しかった胸が、もう軽くなった。
「なに?今の僕はもう女の子に見えない?」
僕は少しだけムッとなって言い返す。
「いいや。さっきも今も、俺にとって世界でいちばんの女の子だよ」
また赤くなる。
僕もつられて赤くなった。
自分で言ったくせに、赤くなるの辞めてくれないかなぁ?
こっちまで恥ずかしくなる…
「そうだ!薬局寄って帰ろう!女の子になりたいんだろ?化粧品買ってこう。」
千尋さん、知ってたのかなぁ?
初めてのメイクに、僕が喜んでたこと…
「でも、自分じゃやり方分かんないし…」
「化粧は女の身だしなみだぞ?練習練習!」
明るい気分になった千尋さんは、車に戻って薬局に向かってくれた。
閉店ギリギリで店に入れた。
「ゆーきは肌が綺麗だから、ファンデーションは要らないね。」