CHIHIRO
でも、“いつも通りの僕”で…
認めてもらいたいんだ。
「だめだ。5つも下の、それもまだ未成年と交際なんて、何を考えているんだ。」
千尋さんのお母さんは、おろおろしたような態度だった。
「親父!そういう言い方ないだろ?!優貴は料理も出来るようになったし、家の事だってちゃんとしてくれてる。それに歳なんて、関係無いだろ?」
千尋さんはいつもよりも少し大きな声で言った。
初めて聞く、千尋さんの怒った声。
初めて見る、千尋さんの怒った顔。
「だめだ。交際は認めない。やっぱり桜子さんとヨリを戻せ。お前が誤れば良い事だ。」
「そういう話しすんなっ」
桜子さん…?
「良いから。この子とはすぐに別れなさい。」
「あなた…」
千尋さんのお父さんは怒って帰ってしまった。
お母さんも哀しそうな顔をして、僕の方をみながらお父さんの後を追っていった。
「………。」
反対、された…
桜子さん。
きっと千尋さんの元カノだ…
やっぱり何もかも上手く行くわけなかったんだ。
桜子さんの方が良いって…
「気にすんな。出よう。」
千尋さんは怒った声のままそう言って、レストランを出た。
車の中に入るまで、無言。