CHIHIRO
結局、何度も行った事がある近所のファミレスに入って食事をとった。
僕の気も知らないで千尋さんはいつものように楽しそうに話す。
僕はそれに相槌しながら聞いている。
千尋さんにはこれまでいろんな話しを聞いた。
高校や大学の時の話は僕のお気に入りだ。
小学校も中学もまともに行って無かった僕にとって、それはすごく新鮮で楽しいものだった。
この話しを聞けば、学校に行けばよかったと思う。
でも、過去の僕が違う僕だったら今の現状は消えると思う。
たくさん辛かった。
いつも逃げ出したかった。
本当は愛されたかった。
今では全てが満たされてる。
千尋さんのおかげで…。
過去の倍より幸せで。
ううん、倍なんてものじゃない。
比べ物にならないくらい、月とすっぽんの差がある。
一生分の幸せを使いきってしまったんじゃないかと思うくらい、千尋さんと居ると嫌な事が消える。
千尋さんは、僕の全て。
千尋さんを失くしたら、僕は僕には戻れない。
過去の僕には戻れなくなってしまったんだ…
もう“幸せ”も“愛”も覚えてしまった。
ただ憧れてた過去にはもう戻れないんだ…