CHIHIRO
第八章
もうすぐ夏になる…
まだ誰も動いてない、静かな大通り。
昼間になれば、たくさんの人が行き交う中で、僕はゆっくり歩いていた。
どこに行こうか。
服もそんなに持ってきていない。
千尋さんに買ってもらったものは、全て置いてきた。
情けない。
永遠なんて、簡単に信じちゃいけなかったんだ。
なにも知らない無知な僕が、そんな浅はかな…
親父と母さんを見て、良く知ってたはずだ。
障害があれば、傷付く事なくやり抜ける事は存在しない。
傷ついて、ボロボロになって、そのままの格好で続けていくしかない。
だって、“永遠の愛”を神に誓ったはずなのに、僕の存在でその形が崩れてしまったのだから…
愛って、どんな形をしてるのかな?