CHIHIRO
とりあえず、まだ朝も早いから家まで歩く事にした。
親父が仕事に行く時間を過ぎたら、一回帰ろうと思った。
此処から家まで歩くとなると、3時間以上もかかる。
長いけど、気にならなかった。
背後にそびえたつマンションは、見たくなかった。
そのマンションは僕に日陰を提供してくれていたけど、僕の方から離れていった。
日陰を出ると、もう昇りきった太陽が僕を照らした。
千尋さん……ごめんなさい。
こんな僕を許して…?
千尋さんは、家族と仲良く、幸せに……
30分くらい歩いただろうか?
涙があふれてきた。
どうして今さら…
千尋さんの声が聞こえたきがして…
でも僕は振りかえらなかった。
千尋さん、もう起きたかな?
驚いたかな?
もしかしたら探してくれてるかも…