CHIHIRO
逃げ道なんてどこにでもあった。
探せばすぐに見つかった。
でもそれじゃあ、なんで僕は今さら…
母さんの為、と生きて居た毎日。
今度は千尋さんの為、と生きた4カ月。
そんなカッコイイ理由に託けて、僕はいつも逃げていただけなんだ。
人のせいにして、自分をいちばん死守していた僕は何よりも
僕の為に生きていた。
カッコ悪い…
そんなのちっとも格好良くなんてないのに…
そんな事は求めて居なかったけど、誰も否定はしなかった。
僕は人の為に生きた事なんてなかったんだ。
その理由が通用しなくなったから、逃げてしまった。
僕はこんな僕の為に生きてるんだ。
死んでもいい。
本気でそう思った。
死にたい。
もう此処から消えてなくなりたい。
それでも臆病な僕は、死にたいくせに生きてるんだ。