CHIHIRO
何度も何度も服の袖で目を擦る。
リスカをするようになってから、醜い腕を隠すように長袖しか着なくなった。
パーカーの袖で痛いくらいに何度も目を擦る。
レジの字が見えない…
僕は店長が僕の為に、レジの所に用意してくれた椅子に座りながら字を読もうとする。
「優貴、どうかした?」
ハルに後ろから声をかけられて、びくっとして立ち上がった。
「あ、なんでもな…」
言いながら振り向くと、全身の力が抜けて、ハルに寄りかかってしまった。
「優貴?!どうした?!」
いけない…
仕事しなくちゃ…
「ごめ、なんでもない…目が、」
そこで急に頭が頭が痛くなって、目の前が真っ黒になった。
雷が、光った。
「優貴?!おい!母さん!優貴が…!」
ハルの声が遠のいて、聞こえなくなった。
何も見えない。
僕は、どうなったの…?