CHIHIRO
真っ暗な中で、誰かが泣いている。
あの子…僕、知ってる。
タツヤだ…
なんで、泣いてるの?
そこに駆け寄るとタツヤはナイフを握りしめて震えてた。
此処は………どこ?
「タツヤ…?」
僕は声をかけた。
もう何年も会ってない弟。
同じ血が通った、正真正銘の家族。
なんだか不思議な感じがした。
そういえば、母さんが亡くなってから…
タツヤはどこにいるんだろう…?
母さんが死んだ理由も、僕は知らない。
「姉ちゃん?」
タツヤはゆっくり顔をあげた。
その顔には誰のものか、血がたくさんついていた。
「…っ?!」