CHIHIRO
神様が与えた僕の“意味”。
僕が泣けば、誰かが笑える。
それが僕の“意味”なんだと思う。
そうやって、教えられてきた。
初めての日、
僕は痛くて嫌で辞めたくて、父の胸を力一杯押して退けようとした。
母さんに助けを求めても、少し開いたドアの隙間からただただ僕を睨み付けて、でも口は笑っていて…
父も楽しそうに笑っていた。
僕が泣き叫べば、誰もが喜ぶ。
それが、『みんなは僕が嫌い』という答に結び付くには、時間はかからなかった。
だから、誰かに愛されたいとか誰かの僕で居たいとか、そういう下らない事は考えないようにしている。
どんなに望んでも叶わない。
叶わなかった夢だった。