CHIHIRO
僕は、お金を持ってそうな人を
辺りを見回して探した。
自分から声をかけて、当たりだった事もなければ
向こうから声をかけてきてあ、当たりだった事もない。
僕は商売運が悪い。
身体の中の水分が無くなりはじめて、ペットボトルの水も無くなった。
目まで乾いてきて、かすんだ目を強く擦った。
目、痣になってたんだっけ…
鈍い痛みが走って、目をつむった。
「いた…」
はたして、顔や足に生傷がある僕を
今日買ってくれる人は居るだろうか。
自分の中で答えは「NO」と出た。
急に怖くなって、目に入った自動販売機で小さいお茶を買った。
ごくごくと喉を鳴らして上を向いて飲み干す。
薬以外の味があるものを口にいれたのは、何カ月ぶりだろう?