CHIHIRO


そしたら、貴方を見つけた。

「君みたいな子が?」

どうやら“探してた”の意味が分かっているらしい。


「どういう意味?」

僕みたいな奴が、あそこに居るのは不自然な事じゃない。
寧ろ僕には似つかわしい場所だと思う。


「君みたいな綺麗な子、あんな所に居たら危ないよ?」


危ない…?
あそこは僕にとって安全地帯だよ?

「じゃあ貴方は?なぜ僕なんかに声をかけたの?僕と貴方はとても不釣り合いだと思うけど…」

少し冷たく言った。
こんな短期間で、よくしてもらっているのに
僕はすごく非常識だと思われてもおかしくない事を言った。



でも彼はそんな事気にしてないように、

「僕“なんか”なんて言っちゃだめだよ」



僕なんか、その表現を間違えているつもりはない。
僕は親にさえ、名前を呼ばれた事が無い。




< 62 / 313 >

この作品をシェア

pagetop