終業チャイム
補習チャイム
『――それでは皆さん、楽しい夏休みをお過ごしください。』
冷房の効いた体育館に全校生徒が並び、名前も知らない校長だか教頭だかの長話を聞いた。
季節はあっという間に夏。
学生の特権である極楽の夏休みは明日からだった。
集会を終えて教室に戻る。
教卓に着いた谷田も「話くそなげぇ…」と、教師らしからぬ発言をしていた。
今学期最後のHRで返された通知表は、追試や補習を免れただけあって平均的な数字が並んでいた。
明日から夏休み。
でも、しなくちゃいけないことが残ってる。
「由希子ー、明日空いてる?」
「えー?なになに?遊びに行くの?」
この腹が立ってくるほど輝かしい瞳には、きっと学祭の準備などこれっぽっちも映ってないんだろう。
「バカ、学祭の準備だよ。さっさと終わらそうよ。」
由希子の輝いた瞳が一瞬にして色を失った。
「あぁ…そっかー…いいよ、わかったー…。」
渋々承諾してくれたと思ったら、また色を取り戻した目で飛びついてきた。
「それよか、谷田にメアド聞いた?」
「………」