終業チャイム
夏休み1日目がやってきた。
しかしあたしは例のごとく、制服に袖を通す。
空は、制服を着ているあたしを嘲笑うかのように晴れ渡っている。
家を出て自転車に飛び乗り、勢いよく漕いだら後輪に定期的な揺れを感じた。
「げっ……」
自転車を一度停めて後輪を確認する。
後輪に触ると、タイヤは容易く凹んだ。
パンクだ。
昨日まで普通に使ってたのに、なんで突然。
夏休み1日目にして制服を着ていることを自転車にすらバカにされた気がして、一気に気疲れが起きた。
とりあえずパンクを直さなければ。
由希子に遅刻の旨をメールした。
『ごめん!自転車パンクしたー。
悪いけど先に作業してて!
お詫びにアイス買ってくるから。
スイカバーとメロンバー、どっちがいい?』
まぁ、由希子なら『ハーゲンダッツ』という返事が返ってきそうだが、これで機嫌は損ねないだろう。
あたしは急いで自転車屋に寄りパンクを直してもらいに行った。
しかしなかなか由希子からの返事がこない。
仕方がないのでスイカバーとメロンバー、両方を買って学校に向かった。