終業チャイム


左手にスイカバーとメロンバーの入ったコンビニ袋をぶら下げて、由希子が準備してるであろう教室の扉を開けた。


「おはよう、ごめんねー自転車がさぁー……っ!」


早速今朝の気疲れ話を愚痴ろうと思った矢先、教室にいたのは由希子ではなく谷田だった。



「自転車がなんだって?」

「あっ、いや…、なんでも…!」



突然の出来事に軽くパニック状態だ。

蒸し暑い空気の中で、体温が上昇していくのがわかる。


「木下が、今日教室使うっつーから様子見に来たんだけど、なんで誰もいねーの?」


木下は由希子の苗字だ。

由希子が昨日、丁寧なことにわざわざ谷田に教室の使用許可をとってくださったと言うことか。


それで当の本人がどこにもいないとは何事だ。


「由希子は、連絡がつかないので寝坊かなにかかと…」

「そうか。…ところで、その手に持ってるもん何?」

「あっ、アイスです。スイカバーとメロンバー…、食べます…?」

「へーメロンバーとかあんのか。じゃ、そっち。」



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