終業チャイム
「学祭の準備で教室を使うっつーから、買い出しとか差し入れとか雑用するつもりで来たんだがな、俺じゃ看板作りなんざできねーし…」
「あの……?」
なにが言いたい。
「木下が来るまで、歴史が苦手な山口に宿題教えてやろーか。」
とんでもない事になった。
全力で断りたいが、先生直々に宿題を教えてもらうのは、自力でやるよりだいぶ助かる。
しかし脳内でリピートし続ける由希子の言葉が、一瞬にして大音量になってしまい頭が痛くなってくる。
あたしを気にしてる?
なんで?どうして?
返事をする前に、谷田は「教材を取ってくる」と言って教室を離れた。
心臓がバクバクしてる。
事態があまりに突然すぎて、対応しきれない。
しかしこんな事でパニックにはならない。
もしも由希子が言っていたことが本当なら、それを確かめるいい機会かもしれない。
もしも本当だったら…
本当だったら?
その時あたしは、
なにを思うんだろう?