終業チャイム
おまけの予鈴



「校門の大きい木、なくなっちゃったんですね」




1ヶ月近くにも渡る夏休みが明けた。

職員室の窓から、生徒が登校する姿を眺めていた俺に、英語を担当する同僚の女教師が声を掛けてきた。


職員室は、俺が副担任として受け持っている教室の真下にあるため、教室で見える景色とほぼ同じだった。


まぁ、教室の方が見晴らしは良いんだろうけど。






「窓からいつも、あの木を眺めていましたよね?私は特に気にしたことなかったけど、こうもばっさり切られてしまうと、なんだか寂しいものですね。」




俺と同じように窓から外を眺めながら呟いた。




生徒達も切られた木を目にとめる事もなく通り過ぎてゆく。



ただひとり、佇む少女を残して。





「あの木、俺が切ったんです」





女教師の表情が驚きに歪んだ。

俺は気にせず言葉を続けた。



「まぁ元々遅かれ早かれ切る予定ではあったみたいです。俺が業者の人を呼んで、切ってもらいました。」



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