終業チャイム
「歴史担当の谷田良樹。んでお前らの副担だから。」
願いが届いたのか、昨年地理を担当してた先生ではなくて安心した。
しかも、他の先生に比べ若めで、少しカッコいい。
この人が副担任。
まぁ副担任なんて有って無いような存在だから、授業以外に関わることなどないのだろうけれど。
低く響いた声に乗った砕けた喋り方はとても心地よくて、あたしは少しだけ歴史の授業が楽しみになった。
「おめーら新選組のこと、テストで“新鮮組”とか書くんじゃねぇぞ。絶対クラスに1人はいるんだよ、こう書く奴。
こいつら選ばれたんだからな?フレッシュな方じゃねーんだよ、むしろすっぺぇ匂いすんだよ、汗かいてっから。」
「修学旅行で京都行くんだけどよ、清水寺ですげぇ心霊写真撮れんだよ。その度に“写ってるー”ってはしゃきだす奴いるんだけどな、ここ数年そういうの聞かねんだよ。
なぜかって、みんなケータイカメラで撮るからさ。幽霊もフィルムだったらピャッと映れんだろうけど、デジタル化には対応してねーみてーだな。」