終業チャイム


それから桜はすべて散り、木々が青々とした若葉を身に付ける季節になった。

燦々と降り注ぐ日差しに目を細める時期のある日、


担任が体調不良で入院したため、朝のHRに谷田が現れた。



「吉田先生が退院するまで、しばらく俺が担当すっから。」



その時のクラスのはしゃぎ様は、まさに担任の嫌われっぷりと谷田の人気を表していた。

もちろんあたしも、嬉しかった。




しかしタイミングが悪いのか、

季節は夏。


もうすぐ、夏休みだ。






「もうすぐ、夏休みだねぇー」


由希子が額に粒となって出てきた汗を拭いながら言った。



「そうだね。でも学祭の準備がこうも進んでないあたし達にあるかね、夏休み。」

「せっかく補習と追試は免れたのに、あんま意味ないかもねー」


そう言った由希子は笑っていた。

あたし達は放課後の教室に2人、学校祭の準備に取り組んでいた。



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