とある彼女のじれじれ彼氏
うちは校舎から走り出した。
後ろから「有紗!」と聞こえた気がした。
気がしただけだからうちは振り向くことなく走った。
でもやっぱり男の人の足には適わんかった。
「待ちなさい、有紗」
「っはぁ、はぁっ…」
センセは白衣の中にうちを隠すように包み込んできた。
「なっ!?」
「こうすれば誰からも見られません」
「は、離して」
「いやだ、有紗、私の話を聞きなさい」
「き、聞きとうない」
「有紗、南は」
「せっ!センセはなんでうちに構うんや」
「なんでって有紗だからでしょ?」
「り、理由がわからへん」