あなたのいのち
「お見舞い…だよね?」
「うん。…でも何も持ってきてないの…ごめん。」
見舞いに来て
何も持ってこないのもおかしい。
自分の勢いだけの行動に嫌気がさす。
「そんなのいらないよ。
奏がここに来てくれたことが
俺にとってほんとに
嬉しいことだから。
…ありがとう。」
坂田は言うと、
頭をごしごしとかいた。
「とりあえず今は検査入院だから。
来週から学校行くよ。」
「ほんと?
坂田君いないと
なんかつまんないから、
学校きてよね。」
「あ」
坂田は閃いたように言った。
「俺のことコウでいいよ。
坂田君て…なんか他人行儀」
坂田君、がコウになる。
「コウ…」
消えそうな声で名前を呼んだ。
「何?ナツ」
名前の呼び方が変わった。
ナツの気持ちも、変わった。