あなたのいのち
ひ み つ
次の日、コウは学校に来ていた。
「おはよう。」
また、眩しい。
休み時間に会話をした。
「俺、野球好きなんだ。
今一番したい。」
コウの体では
絶対に叶わぬことだった。
「甲子園とか目指してさ、
毎日汗流して練習して…
俺、そういうのやりたい。」
同い年の男の子ができることを、コウはできない。
「できるよ。治ったら…。
そうでしょ?」
精一杯の励ましの言葉だった。
コウはきっと、
またあの笑顔で
「そうだよな!」
と言ってくれると思っていた。
しかし、コウの表情は
無表情のまま
「うん…。」と言った。