あなたのいのち
ただ、そこにいたのは
コウではなかった。
ナツの知ってるコウじゃない。
目は疲れきって
輝きなんて失われている。
絶望の色しか感じない。
口角もぐっと下がっている。
まるで笑うことを
忘れたかのように。
「帰ってよ。
会いたくないって言ってるだろ。」
「帰るよ。
コウが話を聞いてくれたら…
そしたらすぐに帰る。
ちゃんと話がしたいの。」
お願いします、と
ナツは深々頭を下げた。
コウは諦めたかのように
ため息をついた。
「…わかったよ。」
2人はコウの病室へと向かった。