あなたのいのち
「うん、聞かせて。
全部受け止める。」
コウの震える手を
ぎゅっと握った。
「俺の病気は普通の病気じゃないんだ。」
「普通じゃない…?」
「十万人に一人の病気。」
目の前が真っ暗になった。
十万人に一人。
すごく重い病気。
ナツは黙ってしまった。
「何て言っていいかわかんないよな。
でも俺、これが運命なんだって諦めてるから。
病気と一生付き合っていくから。」
「諦めるなんて…」
「手術の話も断った。」
「えっ?どうして…」
「手術が成功したとして、
ほんの少し生きながらえるだけだよ。
失敗すればそのまま…」
「やめてよ!」
コウに生きていてほしい。
いなくなるなんて、
考えられない。
考えたくない。